■材料費の原価を把握できるか材料費は、最も難しい部分ですのでしっかりと理解して下さい。まず材料費には、医薬品費、診療材料費、医療消耗器具備品費、給食用材料費の 4 種類が病院会計準則上あります(表 2)。そもそも会計処理がきちんと病院会計準則の定義にあっているかも事前に確認して下さい。原則、下記の手順で材料の計上方法は検討をして下さい。①原価となる金額が計上できないか確認する。⇒医薬品費をこのパターンで実施するためには、オーダー数×納入価が必要です。診療材料費は大半が手術で使用する材料になるので業者の納品書で把握が可能です。10 万円未満の医療物品に関しても、原則使用部門は把握可能です。②診療行為の中の薬剤料、材料料等の医事データをピックアップして配賦基準とする。⇒償還した分の報酬であるため1と併用した場合の二重計上には気をつけて下さい。収益按分をするとどうしても能力負担主義になっているようですが、医療の場合使用原価に対して報酬が異なるので、一概に収益を配賦基準にすることが能力負担主義になっていないことは注意が必要です。■勘定科目の内容を確認する診療材料費は「処置・手術料で按分」というような考え方がありますが、これは大きな間違いです。どんな費用がその勘定科目にあがっているのか、きちんと確認をした上で計上方法を選定して下さい。その意味で、勘定科目ごとに計上方法を伝えるよりも、内容として計上方法を理解していただきたいので下の表を確認して下さい(表 3)。これらの内容が、勘定科目の中でどこに計上されているかを確認していただくことが何より大事です。間違っても、一般的に●●費は「●●」の配賦基準を使うという考え方だけはやめて下さい。■薬剤料を薬価差益で割り戻すまた、最近以下のような手法についても共感を得ています(図 3)。※仮に、差額の283,051円の大半が血液内科で請求できない医薬品費だとすると内科には70,763円、消化器内科には23,588円の余分なコストが計上される。ただし、血液内科が多くの医薬品を使用していることは表現ができている。医事の薬剤料を薬価差益で割り戻して理論原価で計上する方法です(消費税の加味が必要ですが、図 3 ではわかりやすくしています)。課題点は以下の通りです。①請求外のコストが把握できない(これは薬剤料比で按分するのも一緒ですね)。②診療科別の薬価差益が算出できるか(病院全体の薬価差益でよいと思いますが、薬価交渉を頑張っている医師には報いるルールが必要だと思います)。上記、課題となりますが、適正に原価を使用して、請求をしている診療科に余分なコストを計上することは避けることができます。病院の購入額とこの理論原価との差額については常に気をつけておく必要があると思います。