今回は使用するデータのうち、人件費と設備関係費についてお話しします。■人件費の把握方法人件費は、原則人事データで所属している部門に計上していただきます。兼務が発生している場合は、個別対応が必要になりますので、ヒアリング等で確認をして下さい。職種別に計上する内容は下記の通りです(表 4)。一番困難なのが医師の給与を割り振ることです。これに関しては、下記の手順で検討をして下さい。① タイムスタディの実施タイムスタディの実施は可能であれば、一番現場感を表します。ただし、一方でなかなか協力いただけないという側面もあります。実施できない場合は2に進むことになりますが、最終的にどう使うかなので、医師が自身の損益を見られるときにどこまで数値を気にするかで変わってきます。後々、変更してもよいと思います。また、必ず押さえて頂きたいのは、診療報酬に影響しない働きをしていることをきちんと把握することです。例えば、主科が精神科の場合、内視鏡の検査等を合併症の関係で実施すると消化器科の医師が検査をしますが、収益は精神科で計上されてしまいます。この場合は、消化器科の医師の人件費を一部精神科に計上する必要があります。つまり収益に対応する費用の持たせ方をどうするかを確認する必要があります(健診や皮膚科医の入院患者の褥瘡ケア、歯科医の入院患者の口腔ケア等も同様です)。②総労働時間から外来勤務時間を差し引き、残りを入院部門へ一見問題ないように見えますが、かなり荒いやり方です。外来部門以外すべて入院部門というのは、能力負担主義によっているのでそれらしい損益は算出できますが適正とは言いがたい内容なっています。休むことなく働いているか、外来以外の時間を入院診療にかかる時間とみなすことになるので、実態とはかけ離れてしまいます。人件費に関して、あと難しいのが看護師の人件費です。原則外来・入院延患者数での按分が多いですが、ここに関してももう少し固定型の配賦基準を考える必要があります(表 5)。表 5 のように、できる限り人件費を固定化させ、多く診療をしていただいている医師に報いる考え方が必要だと思います。ただ、看護師の給与(人数)も入院基本料という報酬(単価)に影響をしているので、原価として負担すべきかもしれないですね。ここは別途議論が必要です。医療技術員については、各部門に計上になりますが、病棟薬剤業務に専従している薬剤師や地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟に専従する PT・OT・ST については原則直接人件費として、プロフィットセンターに計上してください。判断基準は入院基本料に関わるかどうかです。■設備関係費は使用している部門へ設備関係費は、実際に使用している部門に計上します。高額医療機器については、必ず使用部門に計上されるよう確認が必要です(高額医療機器の使用による医療行為はその分単価に跳ね返っているケースが多いため、収益費用を対応させる必要があります)。計上方法は、原則、減価償却明細やリース資産明細から部門を特定して行ないます。よくあるケースとしては、リースが再リースの場合(これは機器保守料にもいえることかもしれません)、年額がある単月で計上されている場合があります。この場合は、単月の数値に影響を与えてしまうため、そもそもの会計処理を引き当て計上するのか、原価計算で固定額を計上させるか議論が必要です。上記、まずは最低限抑えるべきポイントになりますので、しっかりと理解して下さい。ここさえ押さえれば、変な数値になることはあまりないです...