■費用は「発生する原因」となった部門へその他の費用については、どのように計上していくのかを今回はお伝えしたいと思います。原則、第9回のレポートに記載した内容を重点的に検討いただければ問題はないですが、それ以外の項目についても一定の基準を設定しておきたいと思います。もちろん、今から伝える配賦基準に関しては、それぞれの病院における勘定科目の内容によりますので、一概にこれが当てはまるという考えはありませんが、ベースとして考える内容を下記にまとめましたので、活用して下さい(表 1)。原則、配賦基準は、原価発生主義であり負担能力主義の基準は使わないようにするのが重要です(図 2)。「負担能力主義」...原価回収という観点から収益性の高いものにより多く原価を負担させる⇒例)収益比「原価発生原因主義」...かかったものは、それを発生させる原因となったものに集計し負担させる⇒例)直課ただし、医療の報酬体系においては、実際に使用した分を請求できるという制度であるため、材料費や委託費(検査委託費等)については、やや負担能力主義(薬剤料比、器材料比、検査収益比等)に近しい表現となりますが、実際には原価発生主義に基づく配賦基準と認識してください。■原価発生主義の課題課題としては、下記のようなケースが考えられます。 1)請求できる範囲を超えて、材料(医薬品等)を使用している場合。 2)請求できる範囲を超えて、治療をしている場合。あくまで、医事課で把握している収益は請求できるものに限られます。収益に連動させることで、それらしい数値には近づきますが、それは請求できている範囲に留まりますので、本当の原価は抽出できていません。時系列的に数値の確認を行なう(変化を捉える)ことが優先されるため、詳細な原価を抑える要はないのかもしれませんが、この手法によるメリットデメリットは認識しておいてください。実際にあった例としては、泌尿器科の医師がリハビリのオーダーを出して実施しているが、病名とあわないためリハビリ実施分は請求ができていないケースや、血液内科や精神科で使用している医薬品費が請求の上限を超えて使用しており、病院の持ち出し分になっているケースがありました。次回はコメディカルの配賦基準の考え方についてです。